誉田八幡宮の秋季大祭と、引田のまち
2025年10月12日、ぐんだら家の前の本町通りはお祭り一色に染まりました。
この日行われたのは、誉田八幡宮の秋季大祭。約5メートルの「毛やり」を投げ合う、全国的にも珍しい神事「投げ奴」が行われます。
地域の人々が引田の本町通りに集い、隊列を成して進むその光景は、毎年変わらず圧巻です。
一方で近年、人口減少の影響もあり、子どもたちが楽しみにしている屋台や出店が大きく減っている、という声を耳にしました。
お祭りは、地域の文化を次の世代へと受け継ぐ大切な行事です。
担い手でなくとも、普段の生活圏を越えてまちの中心に集い、顔を合わせ、言葉を交わす——そんな時間が生まれる貴重な機会でもあります。
瀬戸内国際芸術祭への参加で大きな企画の実施は難しい状況でしたが、引田で活動するプロジェクトとして、何か小さなアクションを起こしたい。
そこで、今回実施したのがミニ企画 「射的屋ぐんだらけ」 でした。
地元のばーば全面協力。会話でつながる「ぐんだら小判」
ぐんだら家の玄関を入ってすぐの部屋を、即席の射的屋に。
この企画では、地元のばーばとお話し(ぐんだら)をすると「ぐんだら小判」がもらえ、その小判を使って射的を楽しむ、という仕組みをつくりました。
小判は、東かがわ市の革小物メーカー Ruboa さんから提供いただいたカラフルな革を使用し制作。
子どもたちは、射的をきっかけに自然とばーばたちに声をかけ、会話が生まれていきます。
ばーばの目印となる金色のバッグは、なんとばーば自身がデザイン・制作を担当。
企画会議をした次の日には、なんとこのバッグが出来上がっていました。
明治以降に発展した手袋産業の影響もあり、細かな手仕事を得意とする地域の方々の力を、あらためて感じる印象的な場面でした。
射的の景品も、地元住民のみなさまからの提供です。
中には、江本手袋の人気プロダクト「リストマフラー」もあり、子どもに混じって大人も本気で狙いを定める姿が見られました。
ぐんだら家に子どもが集う
まだ、子どもが出入りすることが少ないぐんだら家ですが、この日はたくさんの子どもが集いました。本町通りに子どもたちの姿が見られるのは、祭りや大きな行事の時期ならではの風景です。
また、投げ奴という神事が行われる通り沿いで、ひとつでも家が開き、人が集っている状態そのものが大切だ、という声もありました。
これからも様々な実践を進めながら、ぐんだら家を如何にまちへ開くべきかを考えます。そして、さまざまな人とともにプロジェクトを進めていける仕組みを育てていきたいと考えています。
特に引田にとって「お祭り」は、まちのあり方そのものを支える重要な存在だと感じています。人々はお祭りを中心に助け合い、文化を受け継ぎながら、地域のつながりを育んできました。その営みはとても魅力的である一方、近年は担い手の減少などにより、かつての力を維持することが難しくなっているのも現状です。
まちづくりの研究の拠点としてのぐんだら家もまた、引田に根付くお祭りとどのように向き合い、何を価値として捉え、どのように人々と協力しながら支えていけるのかを、これからも思索していきたいと思います。
ご協力いただいた地域のみなさま、本当にありがとうございました。
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その他の参加者
野中美里(香川大学創造工学部1年)